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モーニング娘。6期メンバー亀井絵里さんを中心にハロプロを応援するブログです。ネタがない時は管理人の日記になってしまう可能性もありますが、マイペースに、かつ真剣に、亀の歩みのごとく更新して参ります。
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客席はリンリンのイメージカラーであるパステルブルーに染まっていた。
サイリウムとしては珍しい色なので、店頭の在庫は少ない。
日本中のパステルブルーがここに集まったのではないかと錯覚するほどの量だった。

「きれい!」

ファンの行為を粋に感じ、リンリンはアリーナを見渡して目を輝かせる。
そして、彼女は手にしたメッセージを読み上げ始めた。

「パパ、ママと離れて初めての一人暮らし。リンリンは15歳だった。
寂しさと不安で一杯だったあの頃は、卒業して故郷に帰る日が来るなんて思ってなかった。
皆さん、家族のように受け止めてくれて、ありがとうございました」

水を打ったように静まり返った会場に、リンリンの訥々とした声が流れる。

「ファンの皆さんは、リンリンのために新しい帰る家をつくってくれたね。
日本語が下手で、伝わってるか不安な時、ゆっくりでいいよって言ってくれて助けられました。
寒いギャグが滑ってしまったときも、ちゃんと突っ込んでくれましたね。
中国語が分からなくとも、辞書を引いてファンレターを書いて、握手の時に中国語を話してくれた。
リンリンのこと大切に思ってくれて、本当にありがとう」

手紙はメンバーへの思いへ。

「一緒にご飯を食べて、一緒に歌って、笑って、泣いて、幸せな時間も過ごしてきましたね。
私、一人っ子政策の世代だから、みんなといると姉妹ができたような気持ちになって、嬉しかった。
つんく♂さん、娘。という素敵な家族に連れてきてくれて、ありがとうございます」

「皆さんは、いつもリンリンに幸せになってほしいって言ってくれました。
こんなに私を思ってくれる皆さんがいるから、私、幸せですよ!
そして、私の願いも聞いてほしいです。皆さん、リンリンより幸せになって下さいね!」

手紙を読み終わり、リンリンが歌いだしたのは意外な曲だった。
「渡良瀬橋」。事務所の大先輩である森高千里が作詩した名曲だ。
数年前には松浦亜弥もカバーしている。

故郷の情景を歌ったこの曲は、リンリンの心の琴線に触れたのかもしれない。
万人に親しまれた曲だけに、歌詞もメロディも素朴で、暖かい。
そして、どうしようもないほどの寂しさに満ちている。

誰のせいでもない あなたがこの街で暮らせないこと分かってたの
なんども悩んだわ だけど私ここを離れて暮らすことできない・・・

大サビ前のこのパートを聴いた時は胸が震えた。
彼女がこれまで、異国の地でどんな思いを抱えて暮らしてきたのか。
その3年半の重みが伝わってきた。

歌い終わったリンリンに大きな拍手が送られる。
彼女は一礼すると、舞台の袖へと姿を消した。

次に登場したのはジュンジュン
情熱的な赤いドレスに身を包んでいた。
会場内を埋めるサイリウムはブルーへと切り替わる。

「吉澤さんの卒業コンサートがジュンジュンにとって初めてのステージでした。
あの日から、いろんな初めてが始まりました。初めてのファンとの出会い、初めての握手会。
初めてのジュンジュンコール。初めての久住小春ちゃんとの口げんか・・・」

かつて、コンサートの名物企画となっていた小春との対決MCを思い出した。
僕と同じことを考えたのか、客席からはどっと笑いが起こる。

「すべての出来事の時に、いつもファンの皆さんが近くにいてくれました。
外国人のジュンジュンが加入しても、皆さんが認めてくれるかすごく不安でした。
でも、皆さんは国とか関係なく、ジュンジュンを暖かく迎えてくれて、本当に感動しました。
ファンの皆さんはジュンジュンの誇り。大切な家族です」

「モーニング娘、になって100回目、200回目、300回目の公演を覚えていてくれたこと、忘れられない。
卒業のバスツアーで、皆さんが私たちのためにサプライズしてくれたことも忘れられない。
中国に帰っても、そんな皆さんのため、大好きなモーニング娘。のために、めっちゃ頑張ります。
いつか、またより可愛く成長したジュンジュンをお見せしたいと思います」

ジュンジュンがチョイスしたのは「ふるさと」。
モーニング娘。を代表する、少し懐かしい望郷ソングだった。
留学生の2人が揃って、同じ趣向の曲を選んだことになる。

10代の時に海を渡り、見知らぬ土地で仕事に就くのはいかに大きな決断だったことだろう。
中国では血縁を重視する考え方が日本よりずっと強い。
身寄りのない国で暮らすことへの不安は、僕らが想像するより大きかったはずだ。

僕ははっきりと覚えている。
2007年5月のよっすぃ~の卒業コンサートに初めて登場したジュンジュンとリンリン。
どこか後ろの方の席からブーイングを飛ばすグループがいた。
2人がオーディションを経ずに加入したことへの抗議だったのだろう。

彼らを責めるつもりはない。
おそらく、彼らは彼らなりにモーニング娘。というグループを愛していたのだ。
きっと、これまでのやり方が崩れることに不安を感じていたのだろう。

彼女らのファンは、しばらくは数えるほどだった。
08年夏の「シンデレラ」のグッズ売り場では、リンリン全部セットのオーダーにどよめきが起きたほどだ。

しかし、地道に活動を続けるうちに、2人のファンも徐々に増えていった。
2人が備える生来の魅力の賜物だったことは疑いようがない。
僕にとっては、異国でひたむきに戦う2人への素朴なリスペクトがコールの原動力だった。

かつて、モーニング娘。には田舎から夢を追って上京した子たちというストーリーが伏流水としてあった。
2人には、例えオーディションを経ていなくともモーニング娘。になる資質があったと思う。
そのことは、3年半後の今、彼女らの色で染め抜かれた横浜アリーナが何よりも雄弁に証明していた。

ジュンジュンが退場する。
代わってステージに姿を現したのはえりりんだった。
王冠のような帽子をかぶり、ケープにも見えるチェックの衣装を身に着けている。

いよいよ、えりりんが卒業してしまう。
会場からは悲鳴にも似た声が上がった。

「デビューから8年間。
あんなにたくさん笑ったり、泣いたり、感動してきたりしたのが、今となっては夢の中のようです」

そんな一文で手紙を読み始めたえりりん
“夢の中”という言葉が胸を締めあげる。
時折、鼻をすすりあげる姿に、会場からは「頑張れー!」という声援が飛んだ。

「バスツアーでは、改めてファンの皆さんへの思いが大きくなりました。
噴水を一緒に見ながら、みんなと一緒に元気ピカッ!ピカッ!を歌ったあの一体感。
一生忘れられない出来事になりました。今でも、思い出すだけで切なくなるくらい幸せです」

「握手会では『応援してきて良かった』『幸せになるんだよ』と暖かい言葉をたくさんくれましたね。
その全てが自分の力となり、支えとなりました。一人ではここまで来れなかったと思います。
卒業を発表するまでは、毎日怖かった。
でも、発表してから4カ月間、皆さんの暖かさを体中で感じることができ、感謝でいっぱいです」

「そして、メンバーとの大切な思い出。
今でも忘れられないのは、シングル大全集のリハーサルです。
曲数が多いから、体力づくりのために2人一組になって腹筋をしました。
あの時は筋肉痛になっちゃって、つらかったなあ」

冗談めかしたえりりんの言葉に、笑いが起こる。

「加入前の曲は、当時の映像を見て、指先の細かい動きまでみんなでチェックして完成させました。
そして、6期が加入して初めて1位を獲得した『歩いてる』。本当に、本当に嬉しかった。
順位が全てではないけど、誇らしかったし、ファンが私たちと同じように喜んでくれて感動しました」

「ここまでの人生の半分がモーニング娘。でした。
これからは、新しい自分との戦いが始まります。
皆さんがくれた力を胸に、自分に負けないで頑張ります。
人生には、どんな人にも大なり小なり試練が待っていると思います。
私は諦めないで、自分を大切にして、自分の人生を歩んでいくつもりです。
人それぞれ、いろんな思いがあると思いますが、ぜひ一緒に頑張りましょう!」

えりりんはコンサートで常にトップクラスの支持を集めてきた。
これほど事務所にプッシュされずに、これほど人気が出たメンバーは他に見当たらない。
「ファンがメンバーを平等に見てくれる場」としてのコンサートを大事にし、心血を注いだ結果だろう。
自分の力で道を切り開いた彼女らしい、前向きなメッセージだった。

でも、そうやって頑張るほどに、えりりんは自分の体を痛めていった。
「リボンの騎士」の頃は、肌荒れのひどさに稽古に出るのを躊躇ったほどだ。
そして、ついに彼女は、愛してやまないモーニング娘。を離れる決心をした。
切ない、あまりに切ないストーリーである。

救いなのは、そうやって戦ってきた8年間に、彼女が一片の後悔も持っていないことだ。

「モーニング娘。になれて良かった。メンバーと頑張ってきて良かった。ファンの皆さんと会えて良かった。
モーニング娘。は永遠の愛の形。いつまでも、いつまでも私の宝物です」

メッセージをそう締めくくったえりりん。
かつて一世を風靡した「渋谷系」を思わせる、少し懐かしいイントロが流れる。
えりりんがソロ曲に選んだのは「春 ビューティフルエブリデイ」。
爽やかな風が街を洗う季節を連想させる、可愛らしいポップナンバーだ。

彼女が歌うのは「恋ING」かこの曲だと思っていた。
何しろ、書いているうちにつんく♂Pが「これは亀井にうってつけや」と直感した作品だ。

「皆さん、クラップをよろしくお願いしまーす!」
えりりんの呼びかけに、割れるような拍手が鳴り響く。

えりりんには、自分のパートがなかなか増えないことに悩んでいた時期があった。
その頃の心境は「THANKS」の2万字インタビューで詳しく綴られている。

「曲でフィーチャーされないことで、自分はダメなんだって思っていた時期が正直あったんですよ。
こんなに頑張ってるのに、認めてもらえないんだって。(中略)
ファンの方からよく『つんく♂さんに直接伝えたほうがいいのでは?』っていう声ももらってたんです。
でも自分からそこを求めに行こうとは思わなかったし、求めるのは違うなと思ったんですよ。
自分らしく頑張ることが大事だなって」

そんなえりりんにとって、自分をイメージした曲がもらえたことは嬉しかったに違いない。
だからこそ、ポケモー。の思い出の曲ベスト3にもこの曲を挙げたのだろう。

広い会場はまばゆいばかりのオレンジ色で輝いていた。
サイリウムの海の中で、思い出の曲を歌い上げるえりりん。
サビでは「すごく絵里が好きよ」と鳥肌が立つほど大きなコールがかかる。
どんなに辛くとも地道に活動を重ねてきた彼女への、これ以上ないアンサーだった。

頑張り続ければ、いつか必ず報われる。
えりりんは体を張ってそのことを教えてくれた。

春ビュが終わると、間髪入れずに「青春コレクション」のイントロがかかった。
イメージカラーの衣装に身を包んだ7人がステージに躍り出る。
袖で早替えをしたえりりんもすぐに合流した。

会場を周回するサブステージを使ってのパフォーマンス。
メンバーたちが目の前にくるたびに、アリーナ席では無数のサイリウムやボードが揺れる。
ともに青春を駆け抜けた彼女たちの姿を象徴するようなナンバーで、3人の卒業式は幕を下ろした。

(続く)
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