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モーニング娘。6期メンバー亀井絵里さんを中心にハロプロを応援するブログです。ネタがない時は管理人の日記になってしまう可能性もありますが、マイペースに、かつ真剣に、亀の歩みのごとく更新して参ります。
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明るい灰色の雲が銀座の空一面に広がっていた。
街並みに覆いかぶさるその雲は、まるで地上の熱を閉じ込める殻のようだ。
熱と湿気を帯びた空気が肌にまとわりつき、少し歩くと汗が体の奥から吹き出してくる。
決して快適な気候ではないが、この時期に雨に降られなかったのは上出来かもしれない。

僕は歩行者天国を散策する人々を横目で見ながら、銀座中央通りを京橋方向へと急いだ。
間もなく、白亜の外壁が特徴的な建物が右手に見えてくる。
ここが本日の現場、テアトル銀座だ。

100620

この日はモーニング娘。が出演する舞台「ファッショナブル」の東京公演の最終日。
残念ながら大阪遠征はできないので、僕にとっては11時半からの公演がラストとなる。
僕と同じように、今日で見納めというお客さんも多いのだろう。
これまでと比べ、会場に吸い込まれていく人々のヲタT着用率は高く、気合いのほどがうかがえる。

少しでも涼しいところに行きたいので、早めに荷物チェックを済ませて会場内へ。
グッズ紹介のコーナーには、メンバーたちの寄せ書きが飾られていた。

えりりんはというと・・・。
「今日も由加里はイイ女 Fu~!
楽しみマス みなさまじっくり見てください!」
デキる女の役を素直に楽しんでいる様子がうかがえる。

グッズ売り場で日替わり写真を購入し、客席の後方へ。
なだらかな傾斜の先に鎮座する舞台は、緞帳の後ろで静かに出番を待っている。

舞台は生き物。
誰が言い出したのかは寡聞にして知らないが、言い得て妙な言葉だと思う。
脚本や役者が同じであっても、日によって舞台は微妙に表情を変える。
単純に出来栄えの問題もあるし、演技の合い間に挟まれる「遊び」の数々がそうさせることもある。
ひとたび幕が上がれば、何が起きても役を演じ続けるしかないというライブ感も理由の一つだろうか。
舞台に関しては全くの素人ながら、ある程度の場数を踏むことで、何となくそのことが分かってきた。

今日の舞台は一体どのような表情を見せてくれるのだろう。
黒い頭で埋まり始めた客席を眺めながら、僕は開演の時を待った。

(以下、ネタバレ注意)










幕が上がり、逆光の中に浮かび上がる男女のシルエット。
女性から先生と呼ばれた男性は、ソフト帽をかぶって紳士然とした雰囲気をたたえている。

「就任の条件は二つ。一つは店に関する全てを私に一任すること」
「心得ております」
「もう一つは、私と彼女の関係についてだが・・・」

謎めいたやり取りを交わし、光の向こうへと消えていく2人。
すると、舞台上に煌々と灯りがつき、店舗のセットが浮かび上がる。
向かって右側には階段。そこから主演の愛ちゃんが現れた。
「トレゾアへようこそ!」
青春コレクションのイントロが流れ、モーニング娘。の8人が揃う。
弾けるようなダンスが始まると、会場からクラップが巻き起こった。

爽やかな曲調と前向きな歌詞に彩られた、正統派のポップナンバーだ。
最近は「くせ球」が多かった彼女たちだが、ここにきて王道へと回帰した感がある。
青春をテーマの一つに据えたこの舞台とも実に相性がいい。
メンバーのほとんどが20歳を超えた今、いずれはこうした曲がしっくりこなくなる瞬間が訪れるだろう。
このタイミングでこの曲を持ってきた判断は間違っていないと個人的には思う。

サビをバラード調で繰り返すところでは、愛ちゃんとえりりんが肩を組んでセンターを務めていた。
2人の絆を感じさせる微笑ましいシーンは、そのまま本編にも反映されることになる。

多彩な服が陳列された店内で、それぞれの仕事をしている店員たち。
そこへ、2人の少女がおずおずといった様子で店内に入ってくる。
愛ちゃん演じるチーフ店員の長谷川ココは、それを見逃さずに接客に向かう。
「今年の夏はボヘミアンが流行間違いなしですよ!」
矢継ぎ早に流行のファッションをすすめるココ。
がっつき気味のセールスに気圧されたのか、少女たちは逃げるように店を立ち去った。

見送りながら肩を落とすココ。
「最近ココさん、勝率悪いですね」
アルバイトの越野ミカ(光井愛佳)がからかうように声をかける。
「ほらココ、あんまり力みすぎない!」
見かねて歩み寄ってきたのは、袖が広がったチュールレースの服が印象的な折口由加里(亀井絵里)。
「力を抜いて、リラ~ックス」
なだめるように体をさすり、ココと一緒に深呼吸をする由加里。
彼女のとろけるような笑顔を見て、険しかったココの顔がほころぶ。
「由加里さんは、ココさんの扱いがうまいですね」
「同期だからね」
ココと肩を組み、にっこりとミカに語りかける由加里。

「少しは焦った方がいいんじゃないですか?あ~あ、今日も一日、ヒマだったなあ」
冷や水をかけるような口調で割り込んできたのは村田美優(新垣里沙)。
トレゾアで一番の売り上げを誇る販売員だ。
グレーのトップスに黒いパンツ、ショートカットにちょこんとかぶった黒い帽子がサマになっている。
一部の隙もなく流行の服を着こなしているものの、物腰はクールで、刺々しい印象を受ける。
どうやら彼女は、ショップの運営をめぐってココと対立しているようだ。

「向かいに新しい店ができてから、お客さんが随分減ったね」
「あっちは広いし、品揃えが多いし、そして何より・・・安い!」
アルバイトの季芳芳(リンリン)たちの噂話を聞いて、頭を抱えるココ。
独自のセンスで厳選した商品を仕入れ、セレクトショップの生命線とも言えるバイヤーの草壁ルイ(田中れいな)とニナ・リッキー(ジュンジュン)には、他店から引き抜きの話も来ているという。
トレゾアのてこ入れのため、新しい責任者が来るというルイの話もココには衝撃的だった。

閑古鳥が鳴くショップに、バラバラのチームワーク。
お店の前途は多難・・・。
そんなことをうかがわせる描写が続く。

そして、新しい責任者である芹沢眞一郎(辰巳琢郎)の登場で、物語が一気に動き出す。
仕立てのいいスーツを着こなした芹沢は、有名バイヤーとして海外でも活躍した伝説の人物だ。
ココは、一目見るなり、芹沢が幼い頃に別離した実の父であることに気付く。
しかし、自分を忘れているかのような芹沢の言動を見て、憎しみをたぎらせるのだった。

そんなココの心中はお構いなしに、店員を口うるさく指導する芹沢。
細かい指示に振り回される由加里たち。
反発した美優は仕事のボイコットを宣言する。

そんなある日、わがままで有名なタレントの森成あんな(道重さゆみ)がトレゾアに来店。
彼女の心を一瞬にしてつかむ巧みな接客と、ファッションへの類稀なる造詣を見せる芹沢。
芹沢の手により、ココは次にあんなが来店する際、彼女が満足いくコーディネートを提案するよう仕向けられる。

驚くココは芹沢に食ってかかるが、後の祭りだった。
イライラを募らせるココ。らしくない様子をいぶかった由加里が声をかける。
「ねえココ、芹沢さんが来てからずっと変だよ?
何かあるなら話してよ。これまでも、何かあった時には2人で話してきたでしょう?」
しかし、ココの口は重い。
「芹沢さんは、ファッションについては本当にすごいよ!
どうして素直になれないの?意地っ張りなココは好きだけど、今のココは間違ってる!」

そう言い残し、ココのもとを去る由加里。
美優たちが仕事をボイコットし、親友の由加里も失望させてしまった。
営業が終わった店内に一人残され、悄然とするココ。

自分が今、なすべきことは一体何なのか・・・。
真剣に考えたココは答えを見つける。

嫌悪していた芹沢に頭を下げ、教えを請うココ。
そんなココをせせら笑い、高見の見物を決め込む美優たち。
しかし、夜遅くまで店に残り、ピンワークの勉強を続けるココを優しく見守る人影があった。
「きっとできる、私はココを信じているから・・・」
ようやく素直になったココを見て、由加里はそうエールを送るのだった。

そして翌日。
再び来店したあんなにココが提案したのは、紺色のテーラージャケットと白いパンツ。
自らを「宇宙一かわいい」と断言するあんなには、およそ不釣合いなファッションだ。
果たして、試着を済ませたあんなの反応は微妙なものだった。
「これはダメよ。あんなには強すぎるわ」
しかし、ココは優しい色合いのストールを巻くように提案する。
強さの中にも女性らしい優しさを秘めた、現代の大和撫子のコーディネート。
あんなはこの提案を気に入り、ココのセンスを絶賛する。

ありとあらゆる最新の服を着てきたあんなにとって、流行とはもはや退屈なものに過ぎない。
既存の概念にとらわれない、斬新で刺激的な発想こそが彼女の求めるファッションだったのだ。

客は流行の服を次々に着替えていくだけのマネキンではない。
流行に左右されず、本当に客が求めている服、客を最も輝かせるファッションを提案する。
これこそココがたどりついた答え。そして、芹沢が伝えたかった教えだった。

ココの成功を、ともに手を取り合って喜ぶ由加里。
ココは他の店員たちも呼び集め、これまでの自分の至らなさを詫びる。
「ごめんなさい。私、ちっともみんなが付いてきたいと思うチーフじゃなかったね。
私たちは、ただの仲良しグループなだけじゃない。同じ目標に向かっていく仲間なんだよ!」

トレゾアを世界一の店にする。
この壮大な目標を確認した店員たちは、結束を新たにするのだった。

劇中歌として挟まれるのは、青春コレクションのカップリングである「友」。
しっとりとしたこの歌で、仲間との絆を描く印象的なシーンが締めくくられる。

演出を担当した吉田健氏によれば、この舞台には3つのテーマがあるという。
「ファッション」「青春」「親子の絆」。
ここまでのエピソードの主題はファッションと青春。

これから先は、いよいよ物語の核心である「親子の絆」へ。
なぜ、芹沢はトレゾアの責任者を引き受けたのか。
ココは芹沢を許し、和解することができるのか。
物語の結末は、大阪公演やDVDで、実際にご自分の目で確かめていただければと思う。

終演後のカーテンコールでは、出演者のあいさつがあった。
まずは、クールな美優を演じきったガキさん。
「今日は父の日なので、家に帰ったらありがとうと言ってあげて下さい」
これを聞いて「あ、そういえば」と思った人は、僕に限らず、会場に少なからずいたようだ。

そして、手堅い演技で親友という重要な役をきっちり務めたえりりん
ただ優しいだけではなく、ぶつかるところはぶつかるという、メリハリのある芝居がサマになっていた。
「由加里は、ココの背中を押してあげたり、空気を読んでフォローしたり。
私もだいぶ近づいてきているんですけども・・・」
会場からはお約束の「えーー!?」の大合唱。
「違うの、あともう一歩なの!そんな由加里と一心同体だと思って、千秋楽まで頑張ります」

出番は少ないながらも、いつも通りのキャラでインパクトのある役をこなしたさゆ。
「朝のせいかちょっと顔が腫れてて、あんなは可愛い役だからどうしようかと思ったんです。
でも、よく考えたらさゆみは極度に可愛いから、自信を持ってやりました」

同じく出番は少ないながらも、元気な演技で場を盛り上げたれいな。
「なんと!れいな、今日が父の日だって、さっき初めて知りました」
会場からは再び「えーー!?」のコール。
「パパかわいそー。かわいそうやけん、舞台が終わったらすぐメールしようと思います」

他にも、みっつぃが初経験の舞台の感想を紹介。
ジュンジュンリンリンはそれぞれが劇中ではさむアドリブについての話をしていた。
℃-uteの中島早貴ちゃんは、楽屋の蚊に5カ所刺されて困っているというエピソードを披露。
今晩中に蚊を移住させると言っていたが、よく考えればその楽屋を使うのは今日で最後なのでは・・・。

主役の愛ちゃんからは、ジュンジュンとの絡みが毎回ドキドキするとの話があった。
素晴らしい演技で抜群の安定感を誇っていた愛ちゃん。
ラストシーンでは、目にたまった涙が照明を反射し、きらきらと輝いていたことが忘れられない。
ただ、天は二物を与えないという通り、トークは毎回グダグダになってしまうのが玉に瑕だ。
まあ、それも含めての愛ちゃんということなのだろう。

全員のあいさつが終わると、幕が降りてフィナーレへ。
えりりんがしゃがんで手を振っているのを見て、隣のさゆとガキさんも真似をしてしゃがんでいた。
みんなお疲れさま。いい舞台だったよ。大阪も頑張ってね。

終演後の人波に押し出されるようにして会場の外へ。
幸いなことに、まだ雨は降っていない。
僕は来た時とは逆に、銀座中央通りを新橋方面へ向かって歩き出した。

結局、通しで鑑賞できたのは3公演だけだった。
しかし、仕事の都合上、今はこれが精一杯というところだ。
これからも、自分のペースで彼女たちを応援していくことにしよう。

帰りの道すがら、もしかしたら、この舞台には隠されたもう一つのテーマがあるのではないかと考えた。
明示されていないので分かりにくいが、舞台の構成を検証すると見えてくるものがある。

新しく、品揃えが多い店に客を奪われるセレクトショップ。
立て直しに奮闘するリーダーと、それを支える仲間。
タレントの来店が業績回復のきっかけになるという展開。

今のモーニング娘。を取り巻く環境と似ていなくはないだろうか。
脚本を担当した坪田文さんは、娘。の芝居の台本を書くのが目標だったと語っている。
さらには、キャラクターをつくっていく際にも、メンバーたちの個性を参考にしたそうだ。
それほど娘。に思い入れがある坪田さんなら、脚本にも彼女たちのメタファーをまぶしたのではないか。

ただ、今の娘。には芹沢に相当する人物は見当たらない。
あえて言うならつんく♂Pなのかもしれないが、どこかしっくり来ない。
頼りになる大人がいないなら、仲間との絆を信じ、結束して切り抜けるしかないのよ―。
この脚本は、坪田さんからの、そんな遠まわしなメッセージだったのかもしれない。
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