モーニング娘。6期メンバー亀井絵里さんを中心にハロプロを応援するブログです。ネタがない時は管理人の日記になってしまう可能性もありますが、マイペースに、かつ真剣に、亀の歩みのごとく更新して参ります。
よく晴れた11月の最終日。
僕は都営大江戸線を赤羽橋駅で降り、港区の東麻布を訪れた。
桜田通りが首都高と交わる辺りに架かる何の変哲もない橋が駅名の由来だ。

そのたもとには、麻布高栄ビルという、これまた何の変哲もない6階建てのオフィスビルが建っている。
2002年に竣工したこの建物のテナントは、5階がアップフロントエージェンシー、6階がアップフロントグループ。他にも、アップフロントワークスやオデッセーなど、ハロプロファンには馴染み深い企業がいくつも入居している。いわば、ハロプロにとっての一丁目一番地とも言える場所だ。

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このビルの一階にあるカフェ「パシフィックヘブン」では、元モーニング娘。小川麻琴さんのFCイベントが開かれる。他のメンバーも折にふれて開催している少人数制のイベント、通称パシイベだ。
以前から興味はあったが、都合がつかなかったり、抽選に外れたりで参加できなかった。
それなりの年月をハロヲタとして過ごしているが、今回が初体験である。

しばらくビルの周りで待ち、整理番号順に店内へ。
番号カードは90番まで確認できた。
一段高い場所をステージ代わりに使用するらしく、ホワイトボードがしつらえてある。
席にはマコへの質問を書き込むためのアンケート用紙が置かれていた。
「ようこそっ!」という歓迎の言葉と一緒に、マコの手によると思われる蜂のイラストが書いてある。
羽音が「Boom」となっているのは、英語使いとしてのアピールだろうか。

しばらく待っていると、司会役を務めるタイムマシーン3号の2人が登場。
客席とコミュニケーションをとりながら場を暖めると、本日の主役を呼び込む。
「はーい!」という元気な声とともに、マコが小走りで登場した。

白地に黒のボーダーが入ったロングスリーブのシャツに、青いホットパンツ。
鋲が打たれた赤いエナメルのベルトがファッションのいいアクセントになっている。
くしゅくしゅした黒いブーツを履いており、真っ白い脚と鮮やかな対比を描いていた。

明るい茶色の髪の毛は、肩に乗っかるほどの長さで、彼女が動くたびにピョコンと揺れる。
娘。時代よりずっと痩せたことが、上半身にぴったりとフィットするシャツのラインで分かった。
「リボンの騎士」以来、2年3カ月ぶりに見るマコは、年相応の女性らしい華やかさを見にまとっていた。
一目見て、思わず「いい女になったなぁ」と感嘆してしまった。

まずは歌のコーナーだ。
「モーニング時代からずっと好きな曲なんです」と切り出すマコ。
一曲目のセレクションは「大阪恋の歌」だった。
往年のシャ乱Qを彷彿とさせる味のあるメロディが印象的で、僕も大好きな曲の一つだ。
当然だが、出だしの台詞も含めて全編マコのソロである。
ダンス巧者のイメージが強い彼女だが、じっくり聴くと歌唱力も安定していることが分かる。
締めのフリがビシっと決まると、客席から大きな拍手が起きた。
「すごく好きな曲なんですけど、モーニングの頃は人数が多かったから、あんまりパート割がなくて・・・」
若干前のり気味になる箇所はあったが、無事に歌い終えたことで安心したのか、顔がほころんでいた。

トークのセッションに入ると、マコは冒頭で言い忘れたというエピソードを話す。
「今朝は目覚ましを6時55分にかけたんですけど、50分に起きたんです。それで、早起きって気持ちいいな〜って思って歩いてたら、何かを踏んだんですね。こう、見た目はカリントウみたいな。そしたら、脇でアズキ(飼い犬)が座ってこっちを見てて・・・。私の今日の最初の仕事は、アズキのふんの掃除でした」
「え、それをわざわざ話したかったの!?」
TM3号の2人が絶妙のタイミングで突っ込む。
「じゃあ、さっきも『ふんの話をしなきゃ』って思いながら歌ってたの?」
「まあ、そうですね」
あっけらかんと話すマコ。こういう大らかなところは、結構好きだ。

次のコーナーはニュージーランドの写真紹介。
留学先のオークランドで挑戦した逆バンジー。ホストファミリーとのバーベキュー。気に入ったNZの料理2品。帰国時の飛行機で撮影した子供との2ショット。計5枚がモニターに次々と映しだされる。
写真を見ているうちに、楽しい思い出がよみがえってきたのか、徐々にテンションが上がっていった。
それがピークに達したのは、NZの料理の写真を紹介する時だ。
「これはおいしかった!」と盛んにアピールするものの、肝心の名前が出てこない。
パンの上にサーモン、ポーチドエッグを載せ、ホーランドソース(チーズ風味のクリームソース)をかけたものだ。おそらく「サーモンベネディクト」ではないかと思われる。
ただ、僕はカナダで食べたことがあるので、NZ特有の料理ではなさそうだ。
もう一つの料理は、なぜかタイ風焼きそばの「パッタイ」。
「ニュージーランドでタイ料理にはまって、タイ料理を探す旅に出たんですよ。色んな店を食べ比べたんですけど、このお店のパッタイが一番おいしくて、学校が終わるとソッコーで行って食べてました!」
「どうしてニュージーランドでタイ料理なの?」
「いや、本当においしいんですって」
小さい女の子との2ショット写真については、「飛行機に11時間も乗るんで暇だったんですけど、隣にいたこの子がすっごく可愛くて、ずっと遊んでもらってました」と解説。
「え、遊んであげたんじゃなくて、遊んでもらってたの?」
「はい。スチュワーデスさんに『席を替わりますか』って聞かれたんですけど、『私ここがいいんです』って」
盛んに突っ込むTM3に対し、マコはあくまでマイペースを貫いていた。

次は、今回の目玉とも言えるコントに挑戦のコーナー。
TM3号がネタを書き、リハーサルを繰り返したという。
ネタは「結婚相談所」。マコはアルバイトの店長(みせなが)さんというややこしい役だった。
ハロモニで白百合伯爵夫人を初め、濃いキャラを何度も演じてきただけに、なかなか巧い。
アドリブが滑った時も「ダメでしたね」とあっけらかんと言い、笑いを誘っていた。

質問コーナーは、事前に観客が記入したアンケート用紙を無作為に選ぶ形式だった。
「留学中もメンバーに連絡はとっていましたか?」
「してました、してました。メールです。でも、ぱったり来なくなる時期があって、『おっと、こりゃ忘れられてるぞ』って感じで、そんな時はみんなに一斉送信しました。『最近どう?』みたいに。そしたら、一斉に送っているんで、一斉に返ってくるんですね。もう読みきれないんで、それが誤算でした」

楽しい時間が過ぎるのは早い。
質問コーナーの次はクイズコーナーが続き、あっという間にエンディングへ。
最後の曲は、思い出深い「青空がいつまでも続くような未来であれ」だった。
元気に飛び跳ねるマコと一緒に手を振っていると、一瞬だけ2006年5月のさいたまスーパーアリーナに戻ったような気がした。この曲はマコにすごく合っているような気がする。彼女のツアーTシャツが、青空に雲がぽっかりと浮かんでいる様子を思わせる意匠だったせいかもしれない。
「家で1人で踊りの練習とかしてると、『私何やってるんだろう』って思うんですよ。妹とか、お母さんが見てくれてる時はいいんですけど。だから、皆さんと一緒に歌うことができて、とても嬉しかったです!」
マコは最後にそう挨拶をすると、いったん舞台の袖に消えた。
いよいよ握手会だ。

何を言ったらいいのだろうと、しばし迷う。
結局、小細工はせずに、自分の今の心境をそのまま伝えることにした。
「今日は、お帰りさないって言いたくて来ました!青空をやれて、すごく楽しかったです」
マコは、しっかりと僕の目を見ながら「ありがとうございます!」と言ってくれた。
他に話したいことがなかったわけではないが、もうそれで十分だった。
マコは、静止画の時よりも、しゃべったり動いたりしている時の方が断然魅力的だと思う。
彼女には、人を幸せにする天性の才能が備わっている。
華のような笑顔に見送られ、僕はパシフィックヘブンを後にした。
イベントの時間は合計1時間半ほどだった。

帰り道で、ふと気がついた。
彼女は、現役の頃から一貫してモーニング娘。のことを「モーニング」と呼んでいる。
今日もそれは変わっていなかった。
若いメンバーの中で、この名前を好んで使う子はマコの他に思い浮かばない。
初期風の呼び方にこだわっているのは、彼女がこのグループに並々ならぬ愛着とプライドを持っている証左のように思えた。

モーニング娘。とは、田舎から上京して頑張っている子たちというコンセプトから出発した物語だと思う。
そうだとするなら、マコほど「モーニング娘。」が似合う子はいなかったのではあるまいか。

忘れられない光景がある。
小春が7期メンバーに選ばれた2005年5月1日のハロー!モーニング。
メンバーが新潟の小春の元を訪れるシーンで、「良かったなぁ、麻琴、田舎に帰れるぞ!」と満面の笑顔で肩を抱くミキティに、無言のマコは曖昧な、そしてどこか寂しそうな笑顔を向けた。
首都圏や北海道の出身者を除き、故郷を同じくする複数のメンバーがモーニング娘。に在籍したことはない。事務所の内情は分からないが、それはおそらく、地方興行面での都合だ。
多分、マコの目にはその時、自分の前に敷かれた卒業へのレールが映ったのだろう。

マコはそれ以降も表面上は腐ることなく、自分の仕事をし続けた。
小春へのダンス指導を熱心に行っていた様子も娘。ドキュで放映された。
コンサートでは、同郷の先輩に無邪気にじゃれつく小春の頭を愛しげに撫でている姿が印象に残っている。
その時のマコは、お姉さんのような、とても優しい目をしていた。
その数ヵ月後には卒業が発表され、リボンの騎士のナイロン役が花道となった。

どちらかと言えば、不遇をかこったメンバーの一人に数えられるだろう。
しかし、ニュージーランドへの長期留学を経て、マコは再び日本の芸能界に戻ってきた。
最近はテレビ番組でも姿を見かけることが多いし、コンサートの司会という新境地も開拓しようとしている。
彼女を取り巻く環境は決して楽観を許さないが、かといって絶望的でもなさそうだ。
少なくとも、芸能界で仕事をし続けたいと思っている限り、チャンスはまだまだ転がっているはずである。

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帰り道に通りかかった赤羽橋の交差点からは、東京タワーがよく見えた。
晩秋の青空に鮮烈なコントラストを描く高さ333メートルの真紅の塔は、様々な夢を胸に東京にやってきた何百万人もの人々を、これまで40年以上も見守り続けてきた。
その中には僕もいるし、マコもいる。

ひたむきに夢を追いかけること以上に尊いものが、一体この世にどれほど存在するだろうか。
僕は心の中でマコにエールを送りながら帰路に就いた。
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